パスワードの保存

GNOMEはユーザのパスワードやその他の機密データを格納するために、モダンで安全なキーリング・マネージャを提供します。アプリケーションはパスワードの取得と保存にキーリング・マネージャのライブラリを使用できます。また、ユーザはパスワードを管理するのにGNOMEのアプリケーションである パスワードと暗号鍵(Seahorse) を使用することができます。

キーリング・マネージャはアイテムをいくつか含むことができる任意の個数のキーリングを提供します。キーリングのアイテムにはデータやパスワードが保存されます。それぞれのキーリングは個別にロックされ、ユーザはロックを解除するためのスワードを提供しなければなりません。キーリングのロックを解除すると、ユーザはキーリングに含まれるすべてのアイテムにアクセスできます。

キーリング・マネージャは、キーリングのアイテムにたいするアクセス制御リストを提供し、そのアイテムによりアクセスが許可されるアプリケーションを制御します。もし未知のアプリケーションがキーリングのアイテムにアクセスしようとした場合、キーリング・マネージャはユーザにプロンプトを表示してそのアプリケーションのアクセスを許可するか、拒否するかを尋ねます。これにより悪意のあるプログラムや質の悪いプログラムがユーザの機密データにアクセスすることを防ぐことができます。

ファイルシステムに保存されたキーリングのデータはAESブロック暗号化方式で暗号化されアイテムの属性にはハッシュ関数にはSHA1が使用されます。属性のハッシュを使用することにより、キーリング・マネージャはキーリングのロックを解除することなくアプリケーションに要求されたアイテムを見つけることができます。キーリングはアイテムが見つかったときにロックが解除され、アイテムにアクセスすることができるようになります。

キーリング・マネージャはセッションのためのキーリングも提供します。セッション・キーリングのアイテムはディスクには決して保存されず、ユーザがセッションを終了すると失われます。セッション・キーリングは現在のセッションだけで使用するパスワードに使用されます。

もしリモートサーバにアクセスする場合にGIOを使用している場合は、キーリング・マネージャによる恩恵を自動的に享受することができます。GVFSがユーザの認証を必要とする場合、認証に使用するパスワードを既定のキーリングかセッションのキーリングに保存するかのオプションを選択することができます。

アプリケーションがユーザのパスワードや機密データを保存する必要がある場合はキーリング・マネージャを使用するべきです。キーリング・マネージャを使用することによりユーザのデータを安全かつ確実に保つことができ、よりよいユーザ経験を提供することができます。

詳細については、 gnome-keyring Reference Manuallibseahorse Reference Manual のAPIリファレンスを参照してください。