JHBuild と GNOME

このセクションでは、GNOME をビルド、インストール、実行するガイダンスを提供します。

3.1. GNOME をビルドする

GNOME をビルドするためには、以下に示すようないくつかの開発用パッケージが必要となります:

  • XML カタログ(/etc/xml/catalog)を登録するために、DocBook XML DTD と XSLT スタイル シートが必要です。

  • X ライブラリ

  • Samba のための libsmbclient(Windows ネットワークのブラウジングで使用)。

  • bzip2 のための libbz2

  • libpnglibjpeglibtiff (イメージのロードで使用)。

ディストリビューションのパッケージをインストールする場合、ディストリビューションに適合するようならば、対応する “dev”、または “devel” パッケージをインストールしてください。それぞれのディストリビューションのために、パッケージの名前 のリストが GNOME wiki で保守されています。

3.2. GNOME アプリケーションを単独で実行する

ここでは、単独の GNOME アプリケーションを実行する方法について説明します。アプリケーションは現在のデスクトップ環境で実行できるはずです。アプリケーションを JHBuild で構築した GNOME で実行する方法については、セクション 3.3 - GNOME デスクトップ環境の実行 を参照してください。

JHBuild のシェルを起動してください。JHBuild のシェルには、必要となるすべての環境変数が設定されています。

$jhbuild shell

実行するアプリケーションが正しいことを確認します。例:

$which gedit
/opt/gnome/bin/gedit

アプリケーションを実行します:

$gedit &

run コマンドでアプリケーションを実行することもできます:

$jhbuild run gedit

3.3. GNOME デスクトップ環境の実行

JHBuild の GNOME を実行するための、新しいアカウントを作成します。ホーム ディレクトリに保存された設定に起因する問題を無視するために、JHBuild の GNOME のために異なるユーザ アカウントを使用することを推奨します。このマニュアルでは、新しいアカウントを gnomedev として説明します。

新しく作成した gnomedev アカウントの、JHBuild 環境をセットアップします。gnomedev のホーム ディレクトリに、~/.jhbuildrc~/.local/bin/jhbuild のソフト リンクを作成します。

gnomedev ユーザで端末を開いてください。以下のコマンドにより、PATH 変数に ~/.local/bin を追加します:

$ echo PATH=$PATH:~/.local/bin >> ~/.bashrc

JHBuild が動作することを確認します:

$ jhbuild run pkg-config gtk+-2.0 --modversion
2.20.1

JHBuild の GNOME を実行するには、2つの方法があります:

  1. ネストされたウィンドウ (推奨)
  2. ディスプレイ マネージャ。

3.3.1. GNOME をネストされたウィンドウで実行するためのセットアップ

JHBuild の GNOME をビルド、およびインストールします。

Xephyr をインストールしてください。Fedora では、xorg-x11-server-Xephyr というシステム パッケージです。Ubuntu、および Debian では、xserver-xephyr というシステム パッケージです。

Xephyr が動作することを確認します:

$Xephyr -ac -screen 800x600 :1 2> /dev/null &

成功した場合、黒い背景のウィンドウが表示されます。確認したら Xephyr ウィンドウを閉じてください。

システム サービスを有効にします。JHBuild の GNOME は、/usr/bin のシステム D-Bus デーモンと、/usr/share/dbus-1/system-services/ のシステム サービスを使用します。また、JHBuild の GNOME は、JHBuild のセッション D-Bus デーモンと、/opt/gnome/share/dbus-1/services/ のサービスを使用します。以下のコマンドで、GNOME の prefix (インストール先)を置き換えてください:

$rm -rf /opt/gnome/var/run/dbus
$ln -s /var/run/dbus /opt/gnome/var/run/dbus
$rm -rf /opt/gnome/var/lib/dbus/machine-id
$ln -s /var/lib/dbus/machine-id /opt/gnome/var/lib/dbus/machine-id

以下の内容で GNOME の起動スクリプト ~/.local/bin/gnome-jhbuild-xephyr-session を作成してください。GNOME は prefix (インストール先)で置き換えます:

#!/bin/sh

GNOME=/opt/gnome
 
GDK_USE_XFT=1
XDG_DATA_DIRS=$XDG_DATA_DIRS:$GNOME/share
XDG_CONFIG_DIRS=$XDG_CONFIG_DIRS:$GNOME/etc/xdg

jhbuild run gnome-session

~/.local/bin/gnome-jhbuild-xephyr-session のモードを実行可能に設定します:

$chmod u+x ~/.local/bin/gnome-jhbuild-xephyr-session

3.3.2. GNOME をネストされたウィンドウで実行する

gnomedev ユーザで、端末を開きます。

Xephyr を実行します:

#Xephyr -ac -screen 800x600 :1 2> /dev/null &

環境変数 DISPLAY を設定します:

#export DISPLAY=:1

GNOME を起動します:

#gnome-jhbuild-xephyr-session

成功した場合は、JHBuild の GNOME が Xephyr ウィンドウに表示されます。不成功の場合は、端末ウィンドウの出力を確認してください。

3.3.3. GNOME をディスプレイ マネージャで実行するためのセットアップ

JHBuild の GNOME をビルド、およびインストールします。

システム サービスを有効にします。JHBuild の GNOME は、/usr/bin のシステム D-Bus デーモンと、/usr/share/dbus-1/system-services/ のシステム サービスを使用します。また、JHBuild の GNOME は、JHBuild のセッション D-Bus デーモンと、/opt/gnome/share/dbus-1/services/ のサービスを使用します。以下のコマンドで、GNOME の prefix (インストール先)を置き換えてください:

$rm -rf /opt/gnome/var/run/dbus
$ln -s /var/run/dbus /opt/gnome/var/run/dbus
$rm -rf /opt/gnome/var/lib/dbus/machine-id
$ln -s /var/lib/dbus/machine-id /opt/gnome/var/lib/dbus/machine-id

以下の内容で GNOME の起動スクリプト /usr/bin/gnome-jhbuild-session を作成してください。GNOME は prefix (インストール先)で置き換えます:

#!/bin/sh

GNOME=/opt/gnome
 
GDK_USE_XFT=1
XDG_DATA_DIRS=$XDG_DATA_DIRS:$GNOME/share
XDG_CONFIG_DIRS=$XDG_CONFIG_DIRS:$GNOME/etc/xdg

jhbuild run gnome-session

/usr/bin/gnome-jhbuild-session のモードを実行可能に設定します:

$chmod a+x /usr/bin/gnome-jhbuild-session

ディスプレイ マネージャに新しいセッションを追加するために、/usr/share/xsessions/gnome-jhbuild.desktop を作成して、以下を入力します:

[Desktop Entry]
Name=GNOME (JHBuild)
Comment=This session logs you into GNOME testing session
TryExec=/usr/bin/gnome-jhbuild-session
Exec=/usr/bin/gnome-jhbuild-session
Icon=
Type=Application

gdm を再起動します。

3.3.4. ディスプレイ マネージャから GNOME を起動する

JHBuild の GNOME を実行するには、gnomedev のログイン情報を入力する前に、ディスプレイ マネージャで GNOME (JHBuild) セションを選択します。成功した場合は、JHBuild の GNOME が表示されます。不成功の場合は、~gnomedev/.xsession-errors ファイルのログを確認してください。